年末の大掃除の一環として、自転車を家で手軽に洗ってしまいたい。
そんな理由から、食器用洗剤で丸洗いしているサイクリストは決して少なくありません。
一見すると汚れがよく落ちて、仕上がりもピカピカ。
しかしこの洗い方、実はロードバイクの寿命を縮めてしまう方法のひとつです。
- なぜ食器用洗剤が危険なのか
- どんな症状が起きるのか
- 正しく洗うにはどうしたら良いのか
初心者にも分かりやすく、プロ視点で解説します。
目次
なぜ危険なのか
食器用洗剤は油汚れを落とすための製品です。
その脱脂力は非常に強く、ロードバイクのパーツに必要な油分まで奪ってしまいます。
ロードバイクの駆動系(チェーン / スプロケット / プーリー / BB / ハブ)は、
適切な油分が残っていることで寿命と性能を維持しています。
つまり、食器用洗剤で洗うほど
“落ちてはいけない油”まで落ちる → 摩耗・錆・寿命短縮につながる
という仕組みです。
どんな症状が起きるのか
洗車直後は気づきにくいのが最大の落とし穴です。
見た目がキレイになることで「正しかった」と錯覚してしまいやすく、
内部では着実にダメージが進行していきます。
| 部位 | 発生しやすい症状 |
|---|---|
| チェーン | 異音・錆・伸び・寿命短縮 |
| スプロケット/プーリー | 摩耗・変速不良 |
| BB/ハブ | グリス流出 → 回転性能悪化 |
| フレーム・ゴムパーツ | 洗剤成分による劣化の可能性 |
「普通に走れている=問題なし」ではありません。
気づかないうちに劣化していくのが食器用洗剤洗車の怖いところです。
正しい洗い方はどうすべきか
初心者でも安全にできて、寿命を守る方法はとてもシンプルです。
フレームに使う洗剤
- 中性の自転車用洗剤
- 代替としてカーシャンプー(中性)でもOK
駆動系(チェーン・ギア類)
- 自転車用ディグリーザーで脱脂
- その後、必ずチェーンオイルを再注油
「脱脂 → 乾燥 → 注油」
この3ステップだけで走行性能が大きく変わります。
仕上げ
- 乾拭きで水分を残さない
- ホイールのブレーキ面に油が触れないように注意
プロ視点のまとめ
食器用洗剤での洗車は、
「キレイに見せる」ことには長けていますが、
「コンディションを守る」観点では最も非推奨です。
短期的にはコストが抑えられますが、
長期的には摩耗・錆・回転性能の低下が早まり、
結果的にチェーン・スプロケット・プーリー・BBなど高額パーツ交換につながります。
ロードバイクの洗車は、
“汚れを落とす”ではなく“性能と寿命を守る”
という考え方に変えることが重要です。

