ブレーキをかけるたびに街中に響き渡る「キーーーッ!」という金属音。
信号待ちで周りの人が振り返ると、なんだか恥ずかしいですよね。
「音がうるさいから、自転車用の油をさしていいのかな?」
「もう自転車が古くなったから寿命?」
そう思っている方、ちょっと待ってください!
音を消そうとしてブレーキに油(潤滑スプレー)をかけるのは自殺行為です。
ブレーキが全く効かなくなり、大事故につながります。
実は、ママチャリのブレーキ音は「前のブレーキ」と「後ろのブレーキ」で原因も対処法も全く違います。
今回は、プロの視点で正しい原因と対処法を解説します。
まずは確認!その音は前から?後ろから?
ママチャリのブレーキは、前と後ろで構造が全く異なります。まずは安全な場所で片方ずつブレーキをかけて、どちらから音が鳴っているか耳を澄ませてみましょう。
- 前ブレーキ:ハンドル付近から「シュルシュル」「キーッ」と聞こえる
- 後ブレーキ:サドルの下あたりから「キーーーッ!」「ガリガリ」と聞こえる
前ブレーキがうるさい場合
前ブレーキ(タイヤのフチをゴムで挟むタイプ)の異音の多くは、「汚れ」または「ゴムの劣化」が原因です。
原因①:ホイールの汚れ
ブレーキパッドが当たる金属の輪(リム)に、油汚れやブレーキゴムの削りカスが溜まると、滑ったり引っかかったりして音が鳴りやすくなります。
「洗車」で直ることが多いです!
ホイールのリム部分を、パーツクリーナーや中性洗剤を含ませた布でピカピカに拭き上げましょう。油分とカスを取り除くだけで、嘘のように音が止むことがあります。
原因②:ブレーキシュー(ゴム)の硬化
ゴムが古くなってカチカチになると、摩擦で音が鳴ります。また、ゴムがすり減って中の金属が見えている場合は、リムを削ってしまうため即交換が必要です。
後ろブレーキがうるさい場合(要注意!)
後ろブレーキの音は、自転車についているブレーキの種類によって「直せるもの」と「交換が必要なもの」にはっきり分かれます。
タイプA:バンドブレーキ(古いタイプ・安価な自転車)
茶色や黒の鉄のカバーがついているタイプです。
一度鳴き始めると「キーーーッ!」と鼓膜に刺さるような強烈な音がします。
- 対処法はありますか?
- 残念ながら、これは「寿命」です。
構造上、掃除をしても一時しのぎにしかなりません。音が鳴りにくい「サーボブレーキ」というタイプへ、本体ごと交換することをおすすめします。
(※ローラーブレーキへの交換は車輪ごとの交換が必要になるため、サーボブレーキへの交換が一般的です)
タイプB:ローラーブレーキ(最近の主流・電動自転車)
大きめの銀色の円盤状のパーツです。雨の日でも効きが良いのが特徴です。
こちらは「グググ」「ガリガリ」という低い音が鳴り始めたら要注意です。
- 対処法はありますか?
- これは内部の「専用グリス切れ」が原因です。
自転車店で「ローラーブレーキのグリスを入れてください」と頼めば、数百円〜千円程度ですぐに直ることがほとんどです。
【重要】絶対にやってはいけないNG行為
一番大切なことなので、もう一度お伝えします。
「音がうるさいから」といって、市販の潤滑スプレー(Kure 5-56など)をブレーキにかけるのは絶対にやめてください!
- ブレーキの摩擦がなくなり、止まれなくなります。
- 一度油が染み込むと洗浄では戻らず、パーツ全交換になります。
- 非常に危険です。
まとめ:洗車で防げる異音もあります
ブレーキの異音は、パーツの寿命だけでなく、日々の汚れの蓄積からも発生します。
特に「前ブレーキ」の音鳴りや、可動部の動きの悪さは、定期的な洗車で防ぐことができます。
「自分の自転車の音、直るかな?」
そう思ったら、ぜひ一度当店にご相談ください。洗車のついでに、プロの目でブレーキの状態もチェックさせていただきます。

